わたしの住むマンションの敷地の
大きなクスの木が根元から切り落とされることになりました。
前から、そういう話が何度か出ていたのは知っていました。
今回、管理会社からのお知らせで知って、
あわてて抗議の電話をしました。
とにかく待ってほしいと伝えて、
伐採を望む住民の意見を聞いてみることにしました。
わたしが住んでいるのは4階。
クスの木は3階まで枝を伸ばし、
このあたりではかなりの大木になっています。
小鳥の憩いの場、セミの止まり木、
心の癒しの木をなんとか切らないでもらえないかと思ったのですが…。
伐採を望んでいるのは、
2階と3階のクスの木が真正面に接している部屋の住人。
とにかく、虫がひどいんだそうです。
玄関口で、
赤ちゃんを抱っこした若い奥さんは、
もうしわけなさそうな顔で、
「虫よけをあちこちに置いてるんですが、
窓も開けられないんです…」と言いました。
実害を受けている人を前にして、
わたしは、
分かりましたとしか言えませんでした…。
木の枝に実害を受けている人がいるのに
単に見て美しいから残してほしいと望むのは
わがままですよね…。
頭では、納得したものの、
悲しくて苦しくて
クスの木が伐採されることがつらくて、
一晩泣きました。
…マンションや集合住宅に住むということは、
住人のそれぞれ違う希望をすりあわせて
妥協するということです。
田舎だったらしなくて済むというわけではありません。
わたしの東北の田舎にある実家では、
庭の桜の木を、
隣家への毛虫被害のため切り倒しました…。
そのときは実家を離れていたので、
残念だ…としか思いませんでしたが、
住んでいたら…そうとう悲しい思いをしたでしょう。
生きてくのは、
自分の希望が通らないことを
何度も何度も体験していくということなのだと
改めて思いました。
あきらめるしかないのです。
そうして納得していくしかないのです。
次の夜
クスの木よ、さよなら
ということで、しこたま飲みました…。
悲しさが癒えるわけではありませんが、
それでも生きていきます。
マンションの敷地に、
トトロの木は、あと一本残っているので…。
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